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ストラクチャード・ファイナンス用語辞典

ノンリコースローン

融資において、担保物件を売却しても債権額に満たない場合、担保物件以外からも返済義務が生じるものを、遡及権(Recourse Right)を持つローンと言う意味で、リコースローンと言います。通常の融資は、ほとんどがこのタイプです。

これに対し、ノンリコースローン(NRF:Non-recourse Debt, Non-recourse Loan)とは、融資に伴う求償権(Right of Indemnity)の範囲が物的担保に限定され、担保物件以外には遡及されないタイプのローンです。非遡及型融資、責任財産限定型ローン、責任財産限定特約付ローン等とも呼ばれます。

融資する金融機関は、リスクの一部を負担する見返りに、ローンの金利を通常より高めに設定するとか、利益の一部を成功報酬として受け取る等の条件を付けることが一般的です。

大きなリスクを伴うプロジェクト案件の資金調達においては、投資リスクを限定するためのスキームが必要となります。

このような場合、新規投資を行う企業は、当該新規投資のみを行うための100%子会社として特別目的会社(SPC:Special Purpose Company)を作り、金融機関は当該SPCに融資をするという形をとるのが一般的となっています。当該SPCは、いわゆるペーパーカンパニーですが、投資の法的な主体となって新規投資を行ない、所有権等もSPC名義となります。実際の意思決定は親会社が行います。この形を採ることによって、当該投資が失敗に終わったとしても、SPCの親会社は株主でしかないので株式の出資分以外に責任を負わないことになります。

例えば、建設予定のビルと、そこからの収益を責任財産とするノンリコースローンによりビルを建設したところ、テナントが入らず返済不能に陥った場合であっても、当該ビルからの収益とビルの売却代金以外に関しては差押等の対象とはなりません。

借主にとっては、返済不能になった場合、強制執行により事業基盤や生活基盤まで失うリスクを低減できることになります。一方、貸主である金融機関は追加のリスクを負う事になるため、そのプレミアム分の金利上乗ができる等のメリットを享受できます。

ノンリコースローンは、金融機関にとっては従来のように融資先の全資産価値を担保とすることができず、当該投資の成否そのものを判断しなければならないことから、金融機関の投資案件に対する審査能力が試されることとなります。

また、リスクに見合ったプレミアムの設定、スキームの作成についての技術能力など、総合的かつ高度な能力が必要とされることとなります。

不動産分野を始め、船舶や航空機等、比較的安定したキャッシュフローが期待できる動産を対象とする場合もあります。また、M&A案件を対象とする場合もあります。

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