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エクセルを使ったモンテカルロ・シミュレーション

第8回 相関を持った乱数発生(2) (その2)

 3. 具体的な乱数発生方法(つづき)

(2) 相互に独立な正規乱数で X1 , X2 , X3 を作り出す

よって、シミュレーションの課題は、以上のような条件を満たす X1 , X2 , X3 を発生させることになったわけですが、我々が知っている方法では、相互に独立な正規乱数しか発生させることができません。そこで登場するのが前回お話したポイント2、3の知識です。ポイント2、3の知識を使って、相互に独立な標準偏差1の正規乱数 Z1 , Z2 , Z3 から、図3の相関係数を持つ X1 , X2 , X3 を作り出します。

まず、最終的な X1 , X2 , X3 と Z1 , Z2 , Z3 の関係を式で示すと以下の通りです。

[ X1 , X2 , X3 と Z1 , Z2 , Z3 の関係]
figure
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figure

figure
図3: X1 , X2 , X3 の相関係数(再掲)

X1 , X2 , X3 相互の相関係数が図3のようになるように、定数 a1 , a2 及び定数 b1 , b2 , b3 を決めます。ここでポイント2,3の知識を使います。

まず、 X1 , X2 , X3 は標準偏差1でなくてはなりませんから、 [ポイント2] の知識より、まず、
 figure
 figure
でなければなりません。

そして、 [ポイント3] の知識を使って X1 , X2 , X3 の相互の相関係数が設定条件を満たすように 定数 a1 , a2 及び定数 b1 , b2 , b3 を決めていきます。具体的に見ていきましょう。

i ) X1 の発生方法

 figure と定義しましたので、 X1 の発生については ここまでの知識を使って、「 = NORMSINV ( RAND ( ) ) 」とエクセルに関数を入力すればよいだけです。

ii ) X2 の発生方法

X2 は、図3が示すように、 X1 との相関係数が 0.8 でなければなりませんから、 [ポイント3] から
 figure
となります。また、
 figure
でなければなりませんから、
 figure
となります。

これでまず、
 figure
となることが分かりました。

iii ) X3 の発生方法

X3 は、図3が示すように、 X1 との相関係数が 0.7 でなければなりませんから、 [ポイント3] より、まず
 figure
であることが分かります。

次に、 X2 との相関係数が 0.9 でなければなりませんから、 やはり [ポイント3] より、
 figure
でなければなりません。
よって、
 figure
となります。

最後に、
 figure
より、
 figure
となります。つまり、
 figure
とすれば良いのです。

(3) 整理

まず、エクセルの3つのセルに 「 = NORMSINV ( RAND ( ) ) 」 と打ち込んで、 独立な標準正規乱数(標準正規分布に従う乱数) Z1 , Z2 , Z3 を作ります。

次に、
 figure
 figure
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として、乱数 X1 , X2 , X3 を作り出します。

次に、 X1 , X2 , X3 それぞれを 0.0003 倍して、 Δr1 ~ Δr3 に相当する乱数を作りだします。

これで、標準偏差 0.0003(0.03%)、図3で示したような相関係数を持つ正規乱数の作り方が分かりました。

次回はこの乱数を使ってシミュレーションを行い、 VaR を具体的に計算してみましょう。

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