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 国債投資Σ3級コース

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デュレーションってなんだろう

第6回 イミュニゼーション (その3)

 3. マコーレー・デュレーションでイミュニゼーションが成立する理由

では、投資期間をマコーレー・デュレーションに合わせると、なぜイミュニゼーションが成立するのでしょう? 直観的には以下のような説明ができます。

前回、マコーレー・デュレーションは「債券投資の平均回収期間を示す」ということをご説明しました。 そして、ここでいう「平均回収期間」とは、利付債の一つ一つのクーポンを割引債と見立てた場合の、割引債の平均満期のことである、と言いました。

つまり、 マコーレー・デュレーションはある利付債を一つの割引債に置き換えるとしたら、何年満期の割引債になるかを示している という見方が可能です。

そして、割引債とは、その償還年限まで保持すれば、収益が確定している債券です。 すなわち、一般の利付債に投資する場合でも、「その利付債を割引債に置き換えるとすれば何年満期の割引債になるか」を示すマコーレー・デュレーションを投資期間とすれば、その投資収益は確定している、というわけです。


以上の説明で納得できないという方のために、数学的にきちんと説明すると以下のようになります。

今、利回りがr、価格Pの債券をt年運用するとします。利回りがrのまま推移するとして、クーポンの再運用も利回りrで可能ならば、t年後の運用収益は、 figure と書けます。(クーポン1年払いでrも1年複利という前提)。

今、このrが r' に変化し、Pが P' に変化するとすれば、そのときのt年後の総合収益は figure となります(もちろんクーポンの再運用の利回りも r' という前提)。

そして上の例のようなイミュニゼーションが成立するには
 figure
が成り立てばよいわけです。

この式が成り立つには、rが変化しても figure の値が変わらなければいいわけですから、 figure をrで微分した値がゼロであれば、(完全にではありませんが) figure が成り立つと考えられます。

それでは figure をrで微分してみましょう。

figure という微分の公式を使えば
 figure

この値がゼロになるにはtがいくらであればいいかを求めてみると
 figure
をtについて解いて
 figure
となります。

これでマコーレー・デュレーションを投資期間にするとイミュニゼーションが成立することがわかりました。 つまりマコーレー・デュレーションを投資期間とすれば、購入後利回りが変化しても、現在の利回り程度の収益率は確保できる、というわけです。


ここでこんな疑問を持った方がいるかもしれません。

「ここまでの議論は、購入後直ちに利回りが一回だけ変化し、後ずっとその利回りのままでクーポンの再運用もできるという非現実的な例じゃないか。実務で使える理論なの?」
もっともです。

この講座では紙幅が無いので残念ながらこれ以上お話できませんが、実はもっと現実的な設定でも、うまく投資債券を乗り換えることによりほぼイミュニゼーションを実現することは可能です。それはいつか機会があったらお話しすることにしましょう。

また、現実にこのような知識を投資にどう結びつけるかはひとまずおくとしても、債券投資の基本構造を理解する上で、以上のような知識は非常に重要です。

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