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 債券・株式・ポートフォリオ入門コース

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デュレーションってなんだろう

第1回 デュレーションとは (その2)

 3. 「利付債=割引債の集合」という考え方

利付債というものは、理論的には割引債の集合と捉えることが可能です。例えば、今取り上げた利付債券を考えてみましょう。

この利付債券は、
 ・残存期間1年 額面 1.5 円
 ・残存期間2年 額面 1.5 円
 ・残存期間3年 額面 101.5 円
の割引債ポートフォリオと捉えることが可能です。

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図2: 利付債を割引債の集合と捉える

上図の左側が例の利付債から生じるキャッシュフローの図です。 右側が今述べた割引債ポートフォリオから発生するキャッシュフローです。

こうやって比較してみれば、上の割引債ポートフォリオを保有していれば、利付債を保有していることと同様であることがおわかりいただけると思います。

(よって、この利付債と割引債の発行体が同じならば、割引債のポートフォリオの時価と利付債の価格は一致するはず、と考えられます。この考え方から、割引債の理論価格を導くのがスワップ評価などで使われる、いわゆる「ブート・ストラップ法」です)


このように、利付債を割引債の集合と捉えると、例えば償還年限が同じ3年後である利付債でも、クーポンが 0.1% のものと、クーポンが 10% のものがあるとすると「実質的な残存期間」は異なる、ということがイメージできるでしょう。

クーポンが 0.1% のものは
 ・残存期間1年 額面 0.1 円
 ・残存期間2年 額面 0.1 円
 ・残存期間3年 額面 100.1 円
の割引債ポートフォリオと捉えることができ、
クーポンが 10% のものは
 ・残存期間1年 額面 10 円
 ・残存期間2年 額面 10 円
 ・残存期間3年 額面 110 円
の割引債ポートフォリオと捉えることができます。

この割引債ポートフォリオの「平均償還期間」を、キャッシュフローの大きさも考慮に入れた上で考える場合、上のポートフォリオの方が平均償還期間は長い(一番期間の長い残存3年の割引債のポートフォリオに占める比率が高いから)ことがわかると思います。

このような観点から、利付債の「実質的な」残存期間を、割引債ポートフォリオに置き換えた場合の平均償還年限として捉えることが可能です。

そしてこれが、デュレーションの意味の1つ目(債券投資の平均回収期間)です。

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