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コーポレートファイナンス用語辞典

CAPMと株式の資本コスト

株式の資本コストは,投資家が株式投資に期待する収益率である。負債の資本コストが金利や社債利回りとして明示されているのに対し,株式の資本コストは明示されていない。そこで,多数の投資家の意見が集約される資本市場の情報を用いて求めることになる。資本コストや期待収益率には,ハイリスク・ハイリターンの関係がある。現代ファイナンス理論は,資本市場におけるリスク・リターン関係を研究してきた。現在,広く受け入れられているのは,ノーベル経済学賞を受賞した W. Sharpe が提示した 資本資産評価モデル(Capital Asset Pricing Model:CAPM)である。

CAPMは,多くの株式からなるマーケットをベンチマークとして,個別株式のリスク・リターン関係を表す。マーケット全体のリスクに対するプレミアムをマーケット・リスクプレミアム(エクイティ・リスクプレミアム)という。
RE を株式の資本コスト(株式の期待収益率), RF をリスクフリー・レート,(RE-RF) を株式のリスクプレミアム,(RM-RF) をマーケット・リスクプレミアムとする。
次の関係式が CAPM である。

equation

右辺第二項の β(ベータ) は,個別株式のリスク尺度である。ベータが高い株式ほど,ハイリスク・ハイリターンとなる。一般的に,消費財メーカーなど景気の変動を受けにくい企業の株式ベータは低い傾向にある。金融業やハイテク企業など景気変動の影響を受けやすい企業のベータは高くなる。株式ベータは, Bloomberg などの情報ベンダーが提供している。

日本では,株式市場の動向を代表する TOPIX をマーケットとみなす。マーケット・リスクプレミアムは, Ibbotson 社が提供する過去のデータを用いて算出することが多い。例えば,1953年から2010年までのヒストリカルデータによると,マーケット・リスクプレミアムはおよそ 6.5% である。リスクフリー・レートは,長期国債の利回りを用いる。

リスクフリー・レートを新発10年物国債の利回り 1.0% ,株式ベータを 1.2 ,マーケット・リスクプレミアムを 6.5% としよう。株式の資本コストは,下記のように 8.8% となる。

equation

同時点,同国内において,リスクフリー・レートとマーケット・リスクプレミアムは等しい。個々の企業の株式資本コストの大小関係は,ベータによって決まる。

 学術的には, Fama and French の3ファクターモデルなど, CAPM 以外のいくつかのモデルが提示されている。しかしながら,リスクファクターが単一のベータであること,リスク・リターン関係が1次式であること,データの入手が容易であること,ノーベル経済学賞を受賞したモデルであることなどの理由で, CAPM が最も普及している。

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