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エクセルを使ったモンテカルロ・シミュレーション

第5回 債券の価格変化とデュレーション・コンベクシティ (その3)

 4. コンベクシティの追加

しかし、本当は債券の利回りと価格の関係は線形ではありません。ここまで紹介したいくつかの利回りと価格のグラフから分かるように、利回りの変化が大きくなるほど、(1)式で近似的に捉えた債券の価格変化と真の価格変化の値とのズレが大きくなります。

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将来の債券価格変化のリスクを認識したいような場合、日本の国債のようなあまり利回り変化が大きくない債券で、残存期間が10年以下といった場合は、多くの場合(1)式で債券価格を認識していてもあまり問題は生じません。

しかし、利回り変化が大きい債券、残存期間が長い債券、あるいは(実質的に)オプション取引が組み込まれていると認識されるような債券などにおいては、(1)式による近似的な認識では真の値とのズレが無視できないほど大きくなることがあります。

このような観点から、いわばデュレーションによる近似を「補正」するための概念が「コンベクシティ」と呼ばれるものです。

結論を申し上げると、債券の利回りが 変化した場合、債券価格変化を以下の(2)式のような形で近似的に把握することができ、かつ(1)式の近似と比べ通常より真の値に近い近似になります。

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具体的に見てみます。先ほどの 10 年の割引債のコンベクシティ値は 7715 という値になります。デュレーション値は先ほど掲げたように -722 ですので、利回り変化( Δr )が0.1%のときの ΔP は、(2)式によれば
  0.001 × (-722) + 0.5 × 0.0012 × 7715 = -0.718 円
となります。(1)式の近似 -0.722 円より真の値(-0.719円)に近いことが分かります。

なお、コンベクシティも使って(2)式の形で債券の価格変化を考える場合、 Δr と ΔP が線形の関係ではないため、 Δr が正規分布であっても、 ΔP は正規分布ではないことになりますので、その点注意が必要です。

実務のリスク管理では、(2)式ではなく、(1)式の近似表現をベースにリスク量を分析することも多いのですが、その理由の一つはここにあります。

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